息子のバンド

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先日息子のバンドのライブがあった。

演奏したのは室内ではなく野外で、駅の裏側にコンテナを持ってきて、その前で演奏するという「コンテナプロジェクト」に参加したのだ。息子のバンドは昨年もこのプロジェクトには参加していて、イベントをオーガナイズしているのが幼稚園の時の友人で、その縁があって出演を依頼されたらしい。

夕刻に妻と二人でBielの駅に向かい1時間余りのコンサートを一番前で聴いてきた。途中息子のギターのストラップが外れてしまい、ギターを支えながら1曲演奏するというハプニングがあったものの、昨年と比べて随分とまとまりができてきて、なかなかいい演奏だった。日が傾きかけて少し涼しくなってきたひと時に結構な人が足を止めて耳を傾けていた。

息子は現在二つのバンドを掛け持ちしている。

ハードコアというジャンルの音楽をやっているバンドと女性ボーカルのパンクポップスのバンドで、今回は後者の方だった。2つのバンドと言ってもキーパーソンのドラムとギーター(息子)は共通でメンバーもまだ流動的なようだ。

メンバーでお金を出し合って練習場を借りていて、週に2、3回練習しているそうだ。みんな息子とほぼ同年代(18~24歳)なのだが、半分は自立していて、後の半分はまだ学生だ。職の方は木工と金属の職人、コンピュータプログラマー、事務職と色々だ。スイスの場合、大学に行くのは特定の職業を希望するときで、大半はなんらかの資格を取って二十歳過ぎには独立する。ちゃんと職につけば充分に自立して暮らしていける給与体系になっていて、結構優雅に生活しているようだ。休暇も1年に4、5週間は保証されているので、自由に使える時間もかなりある。

こんな生活なら働いていてもプライベートの方も充実した生活が送れることだろう。僕もこのような所に生まれていたら「何か」を見つけるために旅に出る必要などなかったのかもわからない、などと思いを巡らせてしまう。

息子が一人で暮らし始めて4ヶ月が経った。

最初の2ヶ月ぐらいは、あまり僕たちのところには寄り付かなかったのだが、ここ最近は2週間に1度ぐらいは顔を出している。まあ、お互いにこれぐらいがちょうどいい付き合いかなと思っている。

実は引っ越し以来息子のアパートを1度しか訪れたことがない。多分散らかっていてひどい状態ではないかと想像しているのだが、先日初めて本人の口からとても他人を呼べるような状態ではないと聞いた。まあ、僕も一人暮らしの時は散らかっているのが通常だったので、そんなものだろうと思っている。

この夏は、野外フェスティバルにもバンドのメンバーと一緒に2回行ったそうで、一人暮らしを楽しんでいるようだ。食事の方も自炊する時はベジタリアンを心がけているそうだ。喧嘩することなく平和に食事ができてこの点はお互いによくなった所だろう。

この夜は僕と妻としては、バンドの演奏自体もそうなのだが、息子の演奏後のみんなで楽しそうに後片付けをしている姿を目にして彼の生活が充実しているが垣間見れて安心できたのが何よりである。